眠り姫の憂鬱。



私も、近々会えたらな、くらいに思っていた。

七海ちゃんの体調も気になっていたし。


「じゃ、放課後に下駄箱で」

「わかった!」


ブンブンと音がするくらい手を振った。


「ねえ、」


振り返ると、もういなくなっていたと思っていた駆琉くんが意味ありげに私をじっと見つめている。


「気になってたんだけど、三郷と雅って付き合ってんの?」

「付き合ってないよ」


口にすると悲しいけど、事実だから仕方ない。


「そっか」


駆琉くんは王子様のような笑顔を浮かべた。


「でも付き合ってないのに三郷の家に行くなんて危なくない?良く行くの?」

「ううん、今日で2回目だよ。それに楓の妹に会いにいくだけだから大丈夫だよ」


私は楓のことが好きだから何されたって嫌じゃないけれど、楓はそんなことするような人じゃないことはよくわかっている。


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