眠り姫の憂鬱。


やがて到着した救急車に乗り込んだ。


「楓。七海ちゃんのかかりつけ医ってわかる?」

「あ、うん。○○病院へお願いします」

「…え、」


楓の言った病院名を聞いて酷く動揺した。

だって私が通っている病院と同じだったから。


ここら辺の地域にはたくさんの大病院があって、私が通っている病院はむしろ遠い病院だからまさか同じとは思っていなかった。


病院に着くとやっぱり同じ病院で、どこかで違う病院であってほしいと期待してたことを痛感した。

落ち着け、落ち着け。

病院は広いし、診療科も違う。

病院が同じだからといってバレることは無いだろう。


七海ちゃんが運ばれていくのを見届けてしばらくすると、家族である楓が呼ばれた。

ポツン、と私一人だけ椅子に座っている。

院内の無機質な空間に不安感を煽られる。

私は“こちら側”の気持ちを初めて知った。

待つ側は胸の奥からソワソワして落ち着かない。


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