眠り姫の憂鬱。
◇ちぐはぐ◇
今日も今日とて私は保健室にいる。
「そういえば明日はマラソン大会だよな」
不意に結城先生がそう言うので、そういえばそんな行事もあったなあと思い出した。
「まあ、葉月には関係ないよな」
私が思っていたことを結城先生が言ったので、同意の意を込めて頷く。
走ることが出来ない私に、長距離なんて以ての外。
マラソン大会には去年も参加しなかった。今年も同様だ。
長距離走るのはキツいと聞くし、参加しなくてよかったなとは思う。
授業もないし学校に行く必要性を感じられないのだけど、出欠はとられるから行かない選択肢はなかった。
「今年もここで大人しくしてな」
結城先生はそう言って私の頭をポンッと叩いた。
───というのが、数時間前の話である。