眠り姫の憂鬱。


「マラソン大会には参加しないんだよね?」

「うんー」

「なにそれ、どっち?」


真依とお昼を食べていると、不意に真依から尋ねられた。

煮え切らない返事をしてしまったのは、真依に申し訳ないと思っている部分があるからだ。


こういう行事は友達と一緒に楽しむものなのに、毎回私は参加しない。

真依は友達も多いし気にする必要はないっていえばそうなんだけど、どうしても気にしてしまう。


「ちょっと飲み物買ってくる」


真依に伝えて自動販売機へと向かう。

マラソン大会、どうしよう。

最近は調子もいいし、少しくらい走ったって大丈夫かもしれない。


150円を投入して小さいサイズのペットボトルのミルクティーを選択した。

ゴトンッ。静かな空間に音が響く。

ミルクティーを取ろうとしゃがんだ。

その時、

「雅ちゃん」

名前を呼ばれた。


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