眠り姫の憂鬱。


ご飯を食べたあとはイルカのショーを見に行った。

イルカたちとお姉さんが元気に泳ぎまわる。


「イルカは人には聞こえない超音波というものを発して、その反射音から距離や方向を測っています。これをエコーロケーションといいます」


お姉さんが説明をしながらパフォーマンスを頑張ったイルカに餌をあげている。


「かわいいいいい」


初めて生で見るイルカはすこぶる可愛かった。

華麗にジャンプを決めて何メートルも上にあるボールにタッチする。


「すごい!!イルカすごい!!!」


バッシャーンと大きな音を立て、イルカがプールから観客に水しぶきをかける。

前の方に座っていた人はビショビショになっていて、後ろの方に座っていて良かったと思った。


次々に覚えた技を披露するイルカを見ていると、私なんかよりずっと頭が良いんじゃないかとさえ思う。



この時、イルカに夢中になっている私は、楓がどんな顔で私のことを見ていたかなんて知る由もなかった。


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