眠り姫の憂鬱。
イルカのショーを見終えると、水槽の魚を眺めつつ出口に向かっていくことにした。
どの魚も色とりどりで綺麗だったけど、私はクラゲの水槽が1番お気に入りになった。
出口付近にはお土産のお店があったので、寄りたいと楓に伝えた。
「見て!イルカのぬいぐるみかわいくない?」
「イルカ好きだな」
「さっきのショーで好きになったの!」
でも、普通の女の子ならペンギンの方が好きかな?
「これ買おっと」
「イルカじゃねえの?」
「うん。七海ちゃんにはペンギンの方が喜ぶかなと思って」
そう言うと楓は少し驚いた顔をした。
「それ七海にあげるの?」
「そうだよー!七海ちゃんにお土産!」
お兄ちゃんを借りて水族館に連れてきてもらったんだから、そのお返しみたいなものだ。
それにこのペンギン、よく見たら七海ちゃんに似てるような気もするし。
レジを済ませて、ピンクのリボンでラッピングしてもらった。
店の前に戻ってくるとそこに楓はいなくて、店の中を覗き込むとレジの場所にいるのを見つけた。
何か買うような雰囲気ではなかったのに、急にあげたいものでもあったんだろうか。