眠り姫の憂鬱。
不思議に思いつつも待っていると、会計を済ませた楓が急ぎ足でこっちに戻ってきた。
「ごめん、待たせた」
「いいよ!それよりこれ!七海ちゃんに渡しといてね」
少し荷物になってしまうから楓には申し訳ないけれど、しばらく七海ちゃんに会う予定がないので仕方ない。
「じゃあお前にはこれ」
そう言ってたった今楓が買ってきたであろう袋を渡される。
「え?」
テープでとめられた袋の隙間から中身を見てみると、さっき私が見ていたイルカのぬいぐるみがそこにあった。
「いいの?」
「欲しかったんだろ?」
欲しかったけれど、こういう所のぬいぐるみって値が張るからさすがにふたつは買えないと諦めていた。
「ありがとう!大切にするね!」
イルカのぬいぐるみがもらえたことももちろん嬉しかったけど、何より楓がプレゼントしてくれたことが嬉しくて胸がいっぱいになった。