眠り姫の憂鬱。
第5章
◇サヨナラと嘘◇
窓を開ければ鳥の鳴き声と肌を刺すような冷たい空気が部屋に入り込んでくる。
この数日間、この病室に閉じこもりっぱなしだった私は、その寒さに身体を震わせながらも気持ち良さを感じた。
この部屋からは庭が見えるからマシな方だけど、それでも窓から見える景色にはもう飽きた。
「症状も落ち着いているし、これなら学校に言ってもいいよ」
「ありがとうございます」
外出許可の希望を出して1週間、先生から許可がおりた。
入院してから病室では電話もできないから、真依からは何件も着信履歴が来ていたし楓からもメッセージが届いたけれど、今の状態を誤魔化しつつ説明できる気がしなくて、心配しないで欲しいということだけをふたりにメッセージで伝えた。
が、正直、余計に心配をさせてしまったかもしれないと思っている。
久しぶりに学校へ行く。
ふたりに会うのは少し緊張してしまう。