眠り姫の憂鬱。


「あの!」

出会って数秒。

彼の目に私が映って一秒。


「好きです!付き合ってください!」

でもそんなことを思わせないほど、彼とは出会ったことがあるような気がした。

運命の人、だと思った。


「ごめんなさい。他を当たって」

だから振られても何とも思わなかったし、むしろこれから好きになってもらうんだって、私を知ってもらうんだって、そう思った。




───まだ本当の恋を知らない私だったから。



< 2 / 236 >

この作品をシェア

pagetop