眠り姫の憂鬱。


HRが終わるとすぐに真依が駆け寄ってきた。


「雅!ずっと学校に来ないで何してたの?!」


他のクラスメイトもチラチラとこちらを気にしているのがわかる。


「うん、ちょっと家の用事でね。心配かけてごめんね」


私は笑顔で真依に言った。


「家の用事ならそう言ってよ!大丈夫なの?」

「うん、大丈夫!ごめんね、上手く説明できる気がしなくて…、」


真依は納得していない顔だったけれど、私は病気のことを彼女に打ち明けるつもりはなかった。

真依にだってこれ以上心配かけたくない。


「ねえ、今度のテスト、先生が問題にしそうなところとかある?」

「え?ああ、古典の先生が…、」


詳しく詮索される前に不自然ではあるものの話を逸らした。

心苦しいけれど、私にはそれしか出来なかった。


真依と話すのもこれが最後になるかもしれない。

そう思うと真依と話している時間が尊く愛しく思えて終わって欲しくなかった。


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