眠り姫の憂鬱。


好きだったあの曲をもう一度聞きたい。

やばい、泣きそう。そう思った時、


「雅ちゃん…?」


振り返ると駆琉くんが立っていた。

私はびっくりして固まった。

本当に駆琉くんが来るなんて。

もしかして楓が駆琉くんに何か言ったのかな。


「…三郷と何かあった?」

「楓から何か聞いたの?」


質問に質問で返した私に駆琉くんは罰が悪そうな顔をした。


「ごめんね、勝手に駆琉くんを巻き込んじゃって」

「ううん、大丈夫だよ。なんかワケありなんだよね…?」


駆琉くんが私の顔を伺うように聞いてくるから小さく頷いた。

駆琉くんは私が楓に話したこと、どこまで知っているんだろう。

たぶん、私が駆琉くんを好きって言ったことは、さすがに楓も話していないよね?

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