眠り姫の憂鬱。
「感情をもっと吐き出しなよ」
心が温かくなる。
七海ちゃんの目は本気だから。
「ふふっ、心配してくれてありがとう!」
「また誤魔化そうとしてる」
睨まれたけれどちっとも怖くなくて笑ってしまった。
「今日話したことは楓にはまだ言わないでね」
「…わかった」
七海ちゃんは渋々と言った感じで頷いた。
好きな人の妹という贔屓目なしでも七海ちゃんはいい子だと思う。いい子すぎる。
「私もプリン食べる!ちょうだい!」
どうしたって言えない。
言えないけれど、いつまでもこのままでいられない。
私の未来はないかもしれない。
いなくなるなら気付かれずに消えないといけない。
そう思うから、どうすれば明かさずに楓を遠ざけることができるのかと毎日思案していた。
楓と私は友達と言っていいのかわからないけれど、少なくとも身近である私が死ぬというのは精神的にダメージを負うだろうと思う。
楓のように優しい人は特別傷付いてしまいそうな予感がしてならない。