眠り姫の憂鬱。


悩んで悩んで、悩んでいる間も日々は過ぎて、どんどん手術の日が近付いてくる。

準備は着々と進んでいるのに気持ちは追いつかない。


「雅ちゃん、いつも来る男の子にはまだ言ってないの?」


先生には口止めしておいたのだが、とうとう痺れを切らしたらしく尋ねられた。

先生は優しいが、いつも鋭く核心を突いてくる。


「はい…。なんて言って遠ざけたらいいのかわからなくて」


床を凝視する私に先生は大きな手を肩にポンッと置いた。


「病気のことを知っても彼なら受け入れてくれるんじゃないかな」

「どうでしょうか、」


やはり臆病な私はカミングアウトしようとは思えなかった。


けれど、夕暮れに染まる病室でその時が突然来た。


「雅、手術受けるんだろ?」

「ッ!?」


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