眠り姫の憂鬱。


「違う…、」


声が震える。

捉えられた視線はもう外すことができなかった。


「楓には言えなかった…。言えなかった!だって病気を持ってるなんて重いじゃん!」


負担になりたくなかった。傷ついてほしくなかった。


「お前は本当に嘘ばっかりつくし、一人で抱え込むし、構って欲しがるくせに強がって頼らない。いちいち絡んでくるのが面倒臭いし、八方美人」

「…なに?」


急に悪口を並べられて戸惑う。

そんなふうに思っていたんだ、とショックも受けた。


「けど、」


手をぎゅっと握られる。その手は私の手よりずっと温かく、その熱が私の顔を、胸を、体を熱くしていく。


「好きだよ、雅」


病院は驚くほど静かだった。時が止まったのかと錯覚してしまうほどに。


「病気のことも、全てひっくるめて雅が好きだ」


夢を見てるのだろうか。

そんな感覚に襲われる。

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