眠り姫の憂鬱。


「おはよう、雅ちゃん」

「おはようございます!奈都さん!」


その女性は楓のお母さんの奈都さんだ。

幼き頃の私の一番のお友達であった奈都さん。

再会した時は、変わっていないその上品で優しい笑顔が懐かしくて思わず抱きついてしまった。


「七海ちゃんは?」

「七海はもう学校に行ったわよ〜」


七海ちゃんとも会いたかったな〜なんて思っていると、またゆっくり遊びに来なさいと奈都さんが微笑む。

私は元気よく頷いた。


「でもまさか、あの雅ちゃんと楓が付き合うことになるなんて、神様のイタズラね」

「私が一目惚れしちゃって猛アタックしたんですッ!」

「あら、でもそれって高校での話でしょ?楓はもっと前から雅ちゃんのことが好きだったのよ」

「母さん」


楓が奈都さんの話を遮るように食い気味に言う。

私は意味がわからなくて首を傾げた。


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