眠り姫の憂鬱。


「何笑ってんの」

「いや、楓って最初の頃、私のこと迷惑そうにしてたなって」

「あー。正直、本当に迷惑だって思ってた。目立つの嫌いなのに、有名人のお前に絡まれて早く飽きてくれないかなって思ってたな」

「酷いね」


そこまで迷惑だと思われていたとは知らなかったな。

正直すぎる告白にツボってしまって、笑いが止まらなくなった。


「諦めなかった私に感謝してよ」

「確かに感謝すべきだな」


あの頃、冷たく返されて心折れてしまっていたら今隣にいることはなかったんだと思うとゾッとする。

自分自身でも過去の自分に感謝すべきだ。

人生後悔のないように、当たって砕けろ精神を大切にしていたのは病気だった私だからこその性格。

病気も含めた私だったから楓の横にいることができたのだ。

だからといって病気で良かったとは思わないけれど、今は幸せだと胸を張って言える。

< 230 / 236 >

この作品をシェア

pagetop