眠り姫の憂鬱。


「三郷くんのおばあちゃん、すごいね!」

「そうか?」

「そうだよ!だってこんな素敵な曲作れるんだから!私その曲、好きだなあ」

「あ、そ」


きっと素敵な方なんだろうと安易に想像できる。

私が目を細めれば、三郷くんは一瞬固まってそれから音を紡いでくれる。


なんだかんだ言いつつも最終的には私に合わせてくれる三郷くんは優しい。

そう、こんなふうに三郷くんのおばあちゃんも優しい人なんだろうな。


三郷くんが奏でる優しい和音に耳を傾け、そっと目を瞑った。


温かくひだまりのように私を包み込んでくれる、そんな音に涙が出そうになった。


ゆっくりと、目を開く。


窓から太陽の橙色の光が差し込み、三郷くんを染めていた。


「綺麗…」


───私は生まれて初めて、男の人が綺麗だと思った。



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