眠り姫の憂鬱。


私はだいたい朝登校した時から保健室に行くことが多かった。


だからちゃんと教室に行くのは、校門で三郷くんを待ち伏せして、三郷くんとちょっとでも長く一緒にいたくて、一緒に教室前まで行くようになったからだ。


だけどたまに三郷くんと会えなかったり、寝坊して待ち伏せできなかったりすると、保健室に直行する。

たとえば、今日みたいに。


「せんせーい」

「なんだなんだ。朝からうるせえな」

「私と先生がデキてる噂が流れてるらしいですよ」


先生は指を使って耳栓してたにも関わらず、しっかり聞こえてたらしく少し驚いた様子でこちらを見る。


「先生ってどの?」

「決まってるじゃないですか。先生は先生ですよ!結城先生!!」


保健室に先生の、はあ?というでっかい声が響いた。


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