眠り姫の憂鬱。
「えへへ、次はちゃんと運命の人を見つけるから!」
「同じこと言うの、何回目だと思ってんの?」
「えーっと、5…6回目?」
「優に10回は越えてる!」
「あははっ」
私の唯一とも言える本当の友達の岡野 真依《オカノ マイ》が真剣な顔で怒っているのが嬉しくて、私は笑った。
だって私のこと心配してくれてるのが伝わってくるし。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
「心配って…するに決まってるでしょ!」
「ちょっと私、保健室に行ってくる!」
「え、ちょっと!ミヤ!まだ話終わってないんだけど!」
私を呼び止める真依の声に振り返らず、私は教室を出ていった。
廊下出ると、もうすぐ授業が始まるからだろう、心做しかみんな教室に向かって早歩きで歩いている。
そんな中、私ひとりがその流れを逆走していた。