眠り姫の憂鬱。
「あれ?ハヅキ、また保健室?」
「まあね~」
「やば~。毎日通ってんじゃん」
「へへっ」
すれ違う友達に話しかけられ軽く交わしつつ、保健室に向かう。
私はいつも学校にいる時間のほとんどを保健室で過ごしている。
単位は少し危ないけど、テストの成績は良いから先生も大目に見てくれているから何ら問題はない。
保健室は、私のオアシスなのだ。
「おっと、」
廊下の角を曲がったら保健室、というところで保健室の扉が開く音がして、私は足をピタリと止めた。
"失礼しました~"という声が聞こえたからたぶん保健室から出てきたんだと思う。
やば!こっち来る。
私は咄嗟に物陰に隠れた。
こういう場合、私の悪口を言いながら歩いてくる人が多いからだ。