眠り姫の憂鬱。
普通の人になら、なんてことない一言。
だけど私には、核心的な一言だった。
「…めんどくさくてサボっちゃった」
サボり魔の私なら、学校を欠席することくらいなんてことないことだと思われていると考えていたから、こんな質問をされること自体予想外。というか、おかしい。
咄嗟についた嘘は、私が一番望んでいないことだけど、でも私らしいと思った。
「俺思うんだけど、そういうの、やっぱ辞めた方がいいんじゃねえの?」
「え…、」
「学校サボるとか、良くねえよ」
ぐるぐると頭の中が回っている。
楓は、サボったことを怒っている?
ああ、どうしよう。全然わからない。
ただ、初めて見る顔に恐怖しか覚えないの。
「授業は受けないにしても、せめて学校には来るべきだろ」
楓もサボったことある癖に、とかいつもの私ならきっと返すはずなのだけど、今日は全然対応出来なくて、ただ押し黙って立っていた。