眠り姫の憂鬱。


なんだか楓が怒っているのは、そこであってそこでない気がした。


じゃあなんで怒ってるの?って疑問は考えても考えても答えは見つからなくて。

気付けば誰もいない空間をぼうっと見つめていた。


もしかして、私が嘘をついたことを見破られてしまったのかもしれない。

だって楓は鋭いから。

バレてしまって、それから呆れてしまったのかもしれない。

どうしよう、泣かないって決めているのに泣いてしまいそうだ。




人は嘘をついてはダメって言うけれど、私は嘘がないと生きていけない。



人に、自分に嘘をつかないと、


「楓の言う通りなんだけどなあ」


なんのために生きているのかわからなくなって、自分を見失いそうになる。



< 88 / 236 >

この作品をシェア

pagetop