眠り姫の憂鬱。


ベッドの方を見てみると仕切りのカーテンは全て開いたままになっていて、今日はまだ誰もいないんだと悟った。


「先生~。お菓子ちょーだい」

「は?お前は保健室をなんだと思ってんだよ。病人にあげるお菓子などない!」

「私、元気だし!」

「だったら教室行けよ」

「うっ…!胸がっ!」

「ったく、調子がいい奴だな」


先生は溜め息をついて苦笑いをした。


ていうか、先生が引き出しの中にお菓子隠してるの知ってるんだからね?

少しくらい、わけてくれたっていいじゃないか。


「お!か!し!」

「ダーメ!」

「ケチッ!!」


私は不貞腐れたフリをしてベッドへ潜り込んだ。

けど先生もフリだってわかってるから、おやすみ~、と呑気な声をかけられただけ。

先生に演技は通用しない。


< 9 / 236 >

この作品をシェア

pagetop