眠り姫の憂鬱。
ベッドの方を見てみると仕切りのカーテンは全て開いたままになっていて、今日はまだ誰もいないんだと悟った。
「先生~。お菓子ちょーだい」
「は?お前は保健室をなんだと思ってんだよ。病人にあげるお菓子などない!」
「私、元気だし!」
「だったら教室行けよ」
「うっ…!胸がっ!」
「ったく、調子がいい奴だな」
先生は溜め息をついて苦笑いをした。
ていうか、先生が引き出しの中にお菓子隠してるの知ってるんだからね?
少しくらい、わけてくれたっていいじゃないか。
「お!か!し!」
「ダーメ!」
「ケチッ!!」
私は不貞腐れたフリをしてベッドへ潜り込んだ。
けど先生もフリだってわかってるから、おやすみ~、と呑気な声をかけられただけ。
先生に演技は通用しない。