眠り姫の憂鬱。


そんなことを考えていると、

「君、ひとり?」

目の前に若い男の人がふたり、立っていた。


「何か用ですか?道案内ならあまり詳しくないのでできないんですけど」

「違う違う!逆に俺らが君に道案内してあげたいなー、なんちゃって!」


わーお、ナンパって本当に実在するんだ。

初めてされた。


「私、友達を待ってるので」

「お、丁度いいじゃん!俺らもふたりだし」

「いや、そういう問題じゃ…、」


無理やり上げた口角がピクピクと痙攣しそうだ。

めんどくさい。どうしよう。


と、その時ピコンッと私のスマホがメッセージの受信音を鳴らした。

真依かな?


「すみません、ちょっと失礼します」


目の前の男性ふたりにそう告げて、スマホを開いた。


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