スノーフレークス
澁澤君に促されて、私は彼に自分の右手を差し出した。彼の長い指が私の手に触れる。この地方の人らしく白魚のような手をしている。彼の手の温もりが私の手の甲に伝わってきて、私の心臓は早鐘のように打ち始める。衝動的に手を引っ込めたくなる気持ちを私は必死で抑えた。
「やっぱりそうか。君は仏眼相だね。それに神秘十時線もある」
「それって何?」
私がたずねると、彼は指で私の親指と手のひらの中央をそっとなぞる。心臓がぞくっとした。
「ほら、この親指のところにある輪が仏眼相で、この真ん中にあるクロスが神秘十時線だよ。これらは神秘的なものに興味がある人や、霊感がある人に出るそうだよ。先祖の加護もある」
彼は説明を終えると、ようやく私の手を解放してくれた。心の中の動揺を悟られないように私は平静を保とうと努める。
「へえ、そうなんだ。あなた、手相が見られるのね」
私は感心してみせる。
「ちょっとだけね。君は常ならぬものに引き寄せられてしまう体質みたいだ。だから問わず語りの池に引き寄せられてしまうし、氷室さんにも引き付けられてしまうんだよ。あの池にも彼女にもあまり近づかない方がいいと思うよ」
「氷室さんに? そういう言い方をするなんて、それじゃあやっぱり彼女は普通じゃないってことじゃない!」
私にあの子と接触してほしくないなら、澁澤君にその理由を教えてもらいたい。
ちなみに、私は氷室さんが超能力者なんじゃないかと思っている。さっき「霊感」って言葉が出たけどいくらなんでも彼女が幽霊であるわけはないだろう。
「彼女は超能力者とかじゃないの?」
私はたずねた。それって、まるで八十年代の学園小説に出てくるキャラクターみたいだけど。
「ユリ・ゲラーみたいな? ふむ、面白い考えだな」
澁澤君は私の考え聞いてを笑った。
「何よ、そんなもったいぶった言い方をして。あなたの考えを教えてよ」
澁澤君は頑として何も教えてくれなかった。でも、練習を終えて疲れている彼をこれ以上引き止めることはできなかった。
「今晩はずいぶんご機嫌だな。学校でいいことでもあったか」
台所で、鼻歌を歌いながら遅い夕飯を作っている私の姿を見て、父さんがたずねた。彼はおつまみを食べながら一杯やっている。
「やっぱりそうか。君は仏眼相だね。それに神秘十時線もある」
「それって何?」
私がたずねると、彼は指で私の親指と手のひらの中央をそっとなぞる。心臓がぞくっとした。
「ほら、この親指のところにある輪が仏眼相で、この真ん中にあるクロスが神秘十時線だよ。これらは神秘的なものに興味がある人や、霊感がある人に出るそうだよ。先祖の加護もある」
彼は説明を終えると、ようやく私の手を解放してくれた。心の中の動揺を悟られないように私は平静を保とうと努める。
「へえ、そうなんだ。あなた、手相が見られるのね」
私は感心してみせる。
「ちょっとだけね。君は常ならぬものに引き寄せられてしまう体質みたいだ。だから問わず語りの池に引き寄せられてしまうし、氷室さんにも引き付けられてしまうんだよ。あの池にも彼女にもあまり近づかない方がいいと思うよ」
「氷室さんに? そういう言い方をするなんて、それじゃあやっぱり彼女は普通じゃないってことじゃない!」
私にあの子と接触してほしくないなら、澁澤君にその理由を教えてもらいたい。
ちなみに、私は氷室さんが超能力者なんじゃないかと思っている。さっき「霊感」って言葉が出たけどいくらなんでも彼女が幽霊であるわけはないだろう。
「彼女は超能力者とかじゃないの?」
私はたずねた。それって、まるで八十年代の学園小説に出てくるキャラクターみたいだけど。
「ユリ・ゲラーみたいな? ふむ、面白い考えだな」
澁澤君は私の考え聞いてを笑った。
「何よ、そんなもったいぶった言い方をして。あなたの考えを教えてよ」
澁澤君は頑として何も教えてくれなかった。でも、練習を終えて疲れている彼をこれ以上引き止めることはできなかった。
「今晩はずいぶんご機嫌だな。学校でいいことでもあったか」
台所で、鼻歌を歌いながら遅い夕飯を作っている私の姿を見て、父さんがたずねた。彼はおつまみを食べながら一杯やっている。