フレーム
ピッ!
その笛の音で両チームが挨拶をする。
ベスト4進出をかけた、
いわゆる準々決勝。
ベンチで、昨日、
私のせいで調整出来なかった太一君の方を見る。
練習ではいつも通り、
いや、それ以上に強烈なスパイクをきめていた。
太一君の調子が
このまま続きますように。
そう、心の中で祈っていると
「昨日ので一応、関東大会出場は決まったようなもんだからねぇ。
高槻は、そんな自分を責めなくていいぞ」
と、監督に肩をポンと叩かれる。
「で、ですが……」
「心配するな、うちの瀬戸は充分強い。
まあ、今日はちょっと荒々しいが大丈夫だな!」
そう、ニンマリ笑う監督と
その横で頷く顧問の先生を見て、
再びコートに目を移すと、
「そう、ですよね。」
そう呟いて、
肩の力を抜いた。
そうだ、太一君は
私が心配しなくても凄い強い。