フレーム
「環奈…」
コート内の選手11人と、隼人と監督が
そう私の名前を呟いた選手の方を向く。
つまり、私以外全員だ。
名前を呼ばれ、
ビクッと反応してしまったが、
カメラを見つめ続けた。
合宿中は私に関わらないと、
先程廊下で言っていたのは嘘だったのか。
「おいどうした、一ノ瀬。」
一ノ瀬「いや、何でもない…何でもないんだ。」
恵吾「試合中だよ〜、集中しなよ?」
そう相手コートから聞こえる会話。
花崎のコートは静まりかえっているためによく聞こえる。
次第に大きくなる自分の息遣い。
太一「環奈?しっかりしろ!」
頭の中に流れる過去の記憶。
いつも、あの声で私を呼んでいた。
大好きだった先輩。