フレーム





隼人side





「それじゃダメなの!」




そう、環奈の声が後ろから聞こえて

振り向けば環奈はもういなくて、

顔を手で押さえながら、ため息をつく太一がいた。


喧嘩でもしたのか?

あの2人に限ってそれはないだろう。

環奈は何から逃げてるんだ?




桜田「何?痴話喧嘩?」



「どうなんでしょうね…」




ボールを集めに来た桜田さんと白井先輩が、

俺の隣に立つと、

同じように太一の方を見る。




白井「まあまあ、ほっときゃなんとか…

っておい!瀬戸!どこ行くんだよ!?」


太一「顔洗ったら戻ります」




白井先輩に呼ばれて一瞬止まると、

それだけ言うと水道の方へ向かって行った。


本当に大丈夫か?


あんな太一、久々に…

いや、初めて見た。




桜田「我等が次期エースが、死にそうだよ」


白井「あのメンタルの弱さ」


桜田「今後が不安すぎる」




そう2人とも、片手で顔を押さえると

わざと泣くフリをする。




「あー…

うちの太一がいつもお世話になってます」




そう俺もわざとらしく頭を下げると、

そのまま桜田さんに肩を組まれ、




桜田「というわけで、なよなよ太一君を引き戻してこい!」




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