フレーム
いつものように男子バレー部の元へ行くと、
人だかりが出来ていた。
ここまではいつも通りなのだが、
その人だかりが女の子ではなく男の子ばっかなのだ。
男子バレー部が男子に人気な日もあるんだなぁ。
なんて、呑気なことを考えながら別の入り口から体育館に入ると、
男の子の視線を集めていたのは、
噂の転校生、桃華先輩だった。
あれ?
桃華先輩の隣で楽しそうに話すのは、私の彼、裕也君と美月ちゃんの彼である恵吾先輩だった。
裕也君が楽しそうに女の子と話す姿なんて見たことなかった私は固まってしまった。
そんな私の方にいきなり小走りで向かって来た桃華先輩。
さらに、わけが分からなくなる。
「はじめまして!私、桃華っていうの!よろしくね?裕也の彼女さん、なんだよね?」
「えっと…はい。環奈です。」
そうなんとか答えると、私にとびきりの笑顔を向けてからまた裕也君の方へ戻っていった。
今の笑顔、なんだかこわかったな。
そう思いながらも、舞台の上に座って部活が終わるのを待っていると、裕也君が手を押さえ込んでしゃがみこんだ。
怪我かな?
「環奈ちゃん!一ノ瀬怪我しちゃったから、保健室…」
「え!?大変!裕也怪我しちゃったの!?私が連れてくよ!大丈夫?」
「あ、桃華お願い」
恵吾先輩に名前を呼ばれて駆けつけようとしたが、桃華先輩がなぜかその言葉を遮った。
圧倒された恵吾先輩もそのまま流すと、私の方を見て両手を合わせるジェスチャーをした。
な、何?今の。
私が彼女、なのに。
桃華先輩も私が彼女って知ってるハズなのに。
なんだか悔しくて、
私も保健室に向かうことにする。