フレーム





次の日、教室へ向かうおうと階段に足をかけると恵吾先輩と美月ちゃんに声をかけられる。


「環奈ちゃん、昨日休んだんだって?大丈夫?」


「おはようございます。大丈夫ですよ」


「環奈…明らかに元気無いじゃない。」


「…出席はする」



それだけ言うと2人を置いて階段を上がり、ホームルームが終わると、カメラと携帯を持って保健室に直行した。

本当は持って来てはいけないのだが、保健室の先生は多分大丈夫。

ベッドに横になり、メッセージが無いことを確認すると目を閉じた。

今朝は当たり前のように、裕也君は集合場所に来なかった。きっと今日も桃華先輩と一緒だったのだろう。

今まで築き上げてきた裕也君との関係も、こんなにもアッサリと無くなってしまうんだと思うと泣きそうになる。

逃げているのは私、だけどなぁ…

溢れてくる涙を押さえる気力もなくて、私はそのまま眠りに落ちた。



目がさめるとすでに12時をまわっており、丁度先生に声をかけられる。

本当は1時間しか休憩出来ないはずなのだが、気を使ってくれたのか3時間も寝てしまっていた。

教室に戻ると、男子バレー部の男の子と目が合う。

関係ないハズなのに気まずい。



「大丈夫か?一ノ瀬さんが心配してさっきまでここいたよ」


「そっか…ありがとう」



嬉しいのに素直に喜べない自分がいる。
会いたいのに会いたくない自分がいる。

昨日、綺麗な写真撮ったんだよって
もしかしたらあなたに見せられるかもって今日、持って来たんだよって

言いたいのに…。



「環奈!」



明らかに元気のなかった私に気を使ってくれたのか、そのバレー部の友達が私にもう一度話しかけてくれる。



「今日、一緒に部活行こう」


「……い、行く」



私のその返事を聞いて満足そうに笑うと、その子は席に戻って行く。

行って、いいよね?
…いや、逆にダメな理由がない。

そう思い、放課後を待つことにしたんだ。




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