フレーム




「応援してるぜ天才フォトグラファー!」


「ゆ、裕也君!ばか!ばかばかばか!

うっ…でも……ありが、とう」


「おう」




照れながらもそう言う環奈に短く返事をして、

部屋の扉を静かに閉めた。

これで、いいんだ。

俺にこの先、別に好きな奴が出来たとしても

環奈を写真家として尊敬し応援する気持ちは絶対に消えない。

俺の知らないところでいいから、

幸せになて欲しいと心から思う。


ドアから離れようとすると

後ろから気配を感じてあいつだと確信し振り返る。




「もう、解決した。待たせて悪かったな。

心配しなくても俺は振られたよ」




ジャージのポケットに手を突っ込んだまま、壁にもたれかかるそいつは

俺の方を見ないまま、口を開いた。




「インターハイ、絶対来いよ

環奈はきっと、お前の写真を撮りたがる」


「だろうな。

俺が言えることじゃないけど、大事にしろよ」


「あぁ」




そう言いながら、最後に俺の方をチラッと見たそいつは腹が立つほどカッコ良かった。

目が合ってフッと笑うと、

俺はそのまま食堂へ直行した。



明日の練習試合楽しみだな


そう思いながら。




裕也side.end



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