フレーム
太一side
中にあいつがいるのは間違い無かった。
2人きりにさせるのは嫌だったが、
それよりも早く2人で話して
トラウマをただの過去にして欲しかった。
壁が厚いのか何を話しているのか全く分からない。
そしてしばらく待つと、
そいつが出てきた。
横目で少し見ただけだがすぐに分かった。
スッキリしたような顔。
きっとこいつの中では解決したんだろう。
俺よりも環奈のことを知っている。
この当たり前の事実が悔しくてそいつの方を向かなかった。
軽く笑いながら、俺は振られたと言うそいつ。
敵対心を出しまくっていた俺に
こんな言葉をかけるこいつは相当良い奴なんだとすぐに分かった。
環奈が初めて惚れたバレー選手だもんな、多分。
恋愛的に好きじゃなくても、
環奈はずっとこいつの写真を撮りたがるだろう。
本当に羨ましい奴だ。
慎重に言葉を選んで口を開くと、そのままそいつは去って行った。
そして深呼吸をしてから、
俺は環奈の部屋のドアをノックしたんだ。