フレーム




扉を開けると、

頬をほんのり赤く染めた環奈が呆然としていた。

俺に気付いてないな。

振られたと言っていたくらいだしな。

気持ちはちゃんと伝わってたよって教えてやりたい。

ライバルなのに変だな。



そう思いながらも、手をその場でパンと一回叩く。




「はっ……え!?太一君!

い、いつから……」




ビックリする環奈の頭を撫でると、

嬉しそうに目を細める。

4月の頃に比べたら、

俺もだいぶ信用されるようになったんだなと思いながら口を開いた。




「みんなのところ、戻ろうか」


「うん」




今日、2回も倒れたのだ。

相当体力が無くなっているんだろう。




「また、お姫様抱っこしてやろうか?」


「歩ける!……え?また?」


「また、だろ?」



環奈が覚えているのは、1番最初に会った時のだけだ。

慌て始める環奈にクスッと笑いながらも、

背中を支えながら食堂に向かったんだ。






太一side.end






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