最期の贈り物 ‐君への愛‐
「ところで……、あなたは?」
顔をあげた妹さんは、そこでやっと、数分前に本当はしているはずであった質問をしてきた。
キョトン、と首をかしげて、私の目を見つめてくる。
瞳の奥に吸い取られてしまいそうなくらい、綺麗な瞳で、私は思わず視線を外してしまった。
「あー、こいつ、さっき拾ってきたんだよ。これから一緒に住むから」
隣で、燐が私の紹介をしてくれた。
してくれたのはいいけれど、それで妹さんに通じるのだろうか……。
拾ってきた、一緒に住む、だけで分かるものなの?
絶対、拾った経緯とか話すべきところだと思うんだけど……。
「あぁ、そうなんだ。初めまして、椎菜(シイナ)っていいます。よろしくね」
なんと、妹さんである椎菜さんにはたったのそれで通じてしまったようだ。
絶対、気になってるよね?なんでこんな野郎が家にいるんだとか思ってるよね?
でも、そんなことを感じせない、柔和な笑みは、私の心をリラックスさせてくれる。
「私は、冴中 優恵っていいます。こ、これからたくさんご迷惑をかけると思いますが、よろしくお願いします……っ」