最期の贈り物 ‐君への愛‐
Ⅰ
はじめまして
「はぁ……」
勢いで家を飛び出てきた私は、家から少し遠い場所にあるコンビニのそばでため息を吐いた。
今は午後十一時。十四歳である私が、いていい時間ではない。
だが、あの家には帰りたくない気持ちでいっぱいだった。
持っているものは、パーカーにたまたま入っていた二百円だけ。
スマホや財布は、持ってきていない。
帰るしかできないけれど、嫌なのだ。
どうしようかな……。ずっとここにいたら、誰かに捕まるかもしれないし、補導されるかもしれない。
面倒なことは御免だからなぁ。
「何やってんの?」
うずくまっていると、一人の人に声をかけられた。
顔をあげれば、一人の男の人がたっている。
コンビニからの明かりはここには漏れていなくて、彼の顔があまり見えない。
けれど、彼の瞳は見えたんだ。
凛々しい、けれども儚い。蛍のような瞳が。