最期の贈り物 ‐君への愛‐
人の家のお風呂だけど、お湯の温かさは私の体を癒していくよう。
なんだか不思議な気分だ。
本当にこれからどうしようかな。
何ヶ月とこの家にお世話になるわけにはいかない。
本来なら私はいらない存在なのだ。
2人にとって、私がいて得することなどこれっぽっちもない。
それなのに、あたたかく迎えてくれる。
燐と私の接点は全くないのに、初対面の私を助けてくれた。
私は確かに困っていた。 頼れる友達もいないし、おばあちゃんおじいちゃんの家に行くのには遠すぎる。
そんな私を、自分の生活内に入れてくれた。
なんて、広い心をもった人なのだろう。
椎菜ちゃんもそうだ。
家に帰ってくるのは兄だけだと思っていたのに、変な奴がついてきて、これから一緒に住むと言われたんだ。
お前誰だよって絶対思った。
なのに、よろしくねって言ってくれて、さらに部屋まで貸してくれるという。
柔らかな笑顔で私の不安と緊張をほぐしてくれる。
……この家の人たちは、なんて優しいんだろう。