最期の贈り物 ‐君への愛‐
そこには椎菜ちゃんと燐が、布団を敷いてくれていた。
「お手伝いはいらないよ。 あのね、優恵ちゃん、布団でも寝れる? ベッドなくて」
「私、どこでも寝れるから大丈夫だよ」
学校の机でも、立ちながらでも、もたれながらでも、私は基本眠ければどこでも寝れる体質なのだ。
「家具とかはまた揃えようねっ」
「えっ?」
「これからずっと一緒に住むんだよね?」
こっちがえ、という顔をしたら、椎菜ちゃんもえ、という顔をしながら聞いてきた。
ず、ずっと一緒に住む……!?
私はそりゃあ、あんな家に戻りたくないけれど、椎菜ちゃんと燐からしたら今すぐにでも出ていってほしいくらいじゃないの……?
「お前、そんなすぐ帰れねぇだろうよ」
むしろこれから帰りづらくなるんじゃねぇの、と燐は壁に手をやりながら言ってきた。
確かにそうだ。
きっと、私の意見なんか無視して再婚するに決まっている。
その準備は進んでいくんだろうから……、時間が経つにつれて私はあの家に帰りづらくなる。