最期の贈り物 ‐君への愛‐
「すぐ帰って、なんとかするから……」
なんとかできないからこうなってるんだけど。
でもずっとここにいるわけにはいかない。
「なんとかできる状態じゃねぇから、俺はお前を拾ったんだ。 俺らは別にお前がいたって構わねぇ」
口調は怖いし、顔も怖いけれど、それでも言葉から伝わってくる優しさ。
燐は、私のことを心配してくれている……。
「そうだよ! 私、お姉ちゃんとか妹とか欲しかったの。 だからね、嬉しいんだよ、優恵ちゃんとこれから過ごすの」
「燐、椎菜ちゃん……」
優しすぎるよ。
私の周りにこんな優しい人はいなかった。
お母さんは虐待とまではいかないけれど、私には冷たい。
学校でも、私はそんな積極的に友達作りができるような奴じゃないから、教室の隅で皆に申し訳ないと思いながら息をするような存在。
友達とまではいかないけれど、話してくれる人はいる。
きっと、私が1日でも休めば離れていくような、浅い浅い関係。
……無意識に探していたのかもしれないな。
こんな、愛を。