最期の贈り物 ‐君への愛‐


「……本当に、いいの?」




2人はもちろんだと笑ってくれた。


燐は、笑ったというより、口角をほんの少しあげた感じかな。


椎菜ちゃんは、天使だ。こんな素敵な人と私はこれから住めるなんて、未練なく死ねるや。




「双子だねぇ!」




私の手をにぎにぎと両手で包み込んでくれる椎菜ちゃん。


思ったよりも冷たくて、私はびっくりしたけれど、私の手が温かすぎるのかもしれない。


さっきまでお風呂に入っていたわけだし。


手が冷たい人は、心が温かい人だって言うしね。




「椎菜、明日起きれんのかよ? もう1時半だぞ」




「うそっ、早く寝なきゃ。 ごめん、優恵ちゃん。 また明日ゆっくり話そう! おやすみ」




バタバタと椎菜ちゃんは出ていった。


綺麗な黒髪が揺れるのが綺麗だった。




「燐は、優しいね。 椎菜ちゃんのことちゃんと気にしてるじゃん」




うるさいだけ、とか、鬱陶しいとか言っていたけれど、やっぱり仲良いんだなぁ。


こうやって近くで会話を聞くと、強く羨ましく思った。




「はぁ? 俺のために言ったんだよ。 あいつ、起きれなかったら俺のせいにするから」




「起きれないのって、燐の帰りを夜遅くまで待ってるからじゃないの?」




きっと、毎日毎日待ってるんだろう。


日付が変わろうとも、血の繋がった兄が帰ってくるのを、1人寂しく。




「そうかもしんねぇな。 だから、俺のせいにされるのか」
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