最期の贈り物 ‐君への愛‐
「こんな可愛い服、私が着てもなぁ」
借りた服に文句を言うわけじゃない。
でも、どうしても私が着るとなんだか服までブサイクに見えてしまう。
服は可愛いんだよ、とっても可愛い。
だけど、着てる人が私だと服も可哀想だな。
まぁ、別にどこも出掛けないし、大丈夫なんだけど。
顔を先に洗おうと階段を降りる。
洗面所にはきちんとタオルが置いてあり、私は謝ってからそれを使うことにした。
くしを使おうとしたが、手ぐしにした。
リビングに向かうと、もうすでに燐がいた。
黒の大きなソファで寝ているみたいだ。
昨日、夜遅かったからなぁ……。申し訳ない。
学校はどうするのだろう、なんて不思議に思ったけれど、私が聞くことでもないかと思ってやめた。
「優恵?」
「わっ、燐。 起こしちゃった?」
ソロソロとリビングをまわっていると、足音かなにかで燐を起こしちゃったようだ。
ろれつがまわっていないし、まだ夢の中にいるのかな。