最期の贈り物 ‐君への愛‐
それよりも、こっちの世界、って言うのがきになる。
「こっちの世界って、どっちの世界?」
世界はたった一つ。ここだけだ。
「あー……、やっぱり知らねぇか。さっきの言葉は忘れろ。お前には関係ないことだ」
「は、はぁ」
自分から言ったのに忘れろなんて、変な人だなぁ。
というか、この人こそ何しに来たの?
まさか、注意するためだけに来たわけじゃないよね?
「あなたこそ、何してるんですか?」
「散歩だ、散歩。つぅか、早く帰れよ。この時間、お前みたいなガキが出てきていい時間じゃねぇよ。さっさと家に帰って寝な」
ガキって……。本当のことだけど、もっと他に言い方ないわけ?
そう言い返してやりたかったけど、彼はもう私と反対方向に歩き始めていた。
彼の姿が光に照らされて、やっと姿がはっきりと見えた。
白のTシャツにジャージのズボン。ダボッとした感じの服だ。
髪の毛は銀色に染められていた。
あまりの綺麗さに感嘆の声が漏れる。