最期の贈り物 ‐君への愛‐
彼が帰っていく姿をぼうっと見ていると、彼の足が止まった。
そして、こっちに向かってズンズンと歩いてきた。
「お前なぁ……!俺、さっきなんつったか分かる?」
「早く帰れって言われました」
この人、怒っているのかな。
ここからじゃあんまり顔が見えないんだよね。
私は座り込んでて、彼は立っている。
見下されている状態だから、余計見にくいんだよね。
「分かってんじゃねぇか」
「私、日本人ですもん」
日本語くらい分からなくちゃ、日本に十四年も住めないよ。
「わかってんなら、さっさと帰れ。変なやつに襲われるぞ」
目の前にいるこの人は変な人じゃないのかな。
襲われはしていないけれど、この人も十分私からしたら変な人だよ。
私、中学生のガキだし、襲う人なんていないよ。
「ガキだからこそ襲う奴がいるんだ。怖くなったろ」