最期の贈り物 ‐君への愛‐
「いや……!やめて!」
手を振り払おうと腕を振るが、強すぎて振り払えない。
無理やり立たされるし、これ本当にやばいよね……?
どうしよう、どうしよう!
「嫌がってんじゃん、やめれば?」
この声は……!
前にコンビニの壁にもたれかかったさっきの人のがいた。
助けてくれるの……?
「うわっ、こいつは……っ」
「逃げるぞ、急げ!」
私を掴んでいた手はどっかに行った。
五人ほどいたが、全員素早くダッシュして消え去った。
私は彼に深々とおじぎした。
呆れているだろうな。知らない人に連れてってもらうとか馬鹿みたいなこと言っていたのに、いざそうなると嫌がってるなんて。
「別にそんな頭下げる必要ねぇよ。大丈夫か?」
どこまで優しいんだろう。
めんどくせぇとかいって帰ったと思ったら、助けてくれて、心配までしてくれる。
「大丈夫です。ありがとうございます」
「礼なんていらねぇ。だから、言っただろ?さっさと帰れと。帰りたくねぇわけでもあるのか?」
素直に白状しよう。
こんなに助けてくれた人に、帰りたくない帰りたくないだけで終わらせるわけにはいかない。
ちゃんと理由も言わなくちゃ。
「お母さんと喧嘩したんです。元々仲悪いんですけど、かなり反抗したら喧嘩が始まって。逃げてここに来たんです」