延長線



うん、待ってて。
私、勉強頑張るから。
先輩の居ないこの学校で、先輩みたいに頑張る。


「おーい、そろそろ帰れー。 鍵閉めるぞー」


遅番の先生が鍵閉めにやってきてしまった。
これはもう、先輩と話す時間が終わりに近づいてる証拠。


「ほらほら、帰れ!」


今まで、卒業生と別れを惜しんでた在校生たちもぞろぞろと校舎をでていく。
その波に、私たちも乗るように校舎を出た。


「じゃあ、愛美ちゃん。 勉強頑張って―――」


「頑張ります、先輩っ!!」


先輩、最後に…… 最後にこれだけ伝えさせて。


「卒業、おめでとうございます!」


花の一つでも用意しておけば良かったかな。
でも、それはもう遅い。


「うん、ありがとう」


花は無いけど、その分、言葉にして想いを乗せたから。
届いてるよね?


「先輩、1年後…… 待ってて下さい」


今の私は先輩に声すら掛けられなくて今日までうじうじしてた、情けなくて、弱虫だった私だけど。

今よりもっときれいになって、魅力的になって。
自分に自信が持てるようになった、聞いて欲しいことがあるんです。


「愛美ちゃんが入学してくること待ってるよ!」


その時に私、先輩にちゃんと好きって言いますから!
どうか、そのときまで待っててください―――。



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