【短編】とある悪い日の話
「うわ、すみません、もしかして図星…」
「うるさい」
「いや、違うんですよ?俺篠田さんに彼氏がいたことすら知らなかったんで本当に偶然」
「だから、うるさいってば!」
思い出して、また泣きそうになってきた。
鼻の奥がツンとして、じんわりと視界がぼやけていく。
七咲なんて嫌いだ。
今日で苦手から嫌いに昇格。ざまあみろ。
「今日、道端でばったり彼氏と会って」
「はい」
「その隣に女の子がいて」
「はい」
「多分、相川さんと同じ年くらいの可愛い子で」
「はい」
「その子が彼氏に知り合い?って聞いたら、何て言ったと思う?」
お酒が回ってきたからか、なんかもうどうでも良くなってきた。