【短編】とある悪い日の話
なんて言っても私もまだ20代。この子らと最高でも7つくらいしか離れていないけど。
ただ、私が老けてるだけなのかな。なんて。
思わず溜息をつきそうになった時。
「百合ちゃんおーはよ!」
………げ。
「あ、おはようございます、七咲さん!」
「あれ、どうしたの暗い顔して」
ふわりと香る、柑橘系の香水。
それは私の"苦手"がもう一つやってきた合図。
「実は昨日少しミスしちゃって」
「なんだ、そんなこと。1年目は沢山ミスすればいいんだって!」
「でもやっぱり色んな人に迷惑かけちゃいますし…」
「手のかかる子ほど可愛いって言うしいいんじゃない?ねえ、篠田さん」
「……そうね」
おいおい、こっちに話を振るんじゃないよ。
形のいいアーモンドアイが私に向けられ、思わず目をそらす。