【短編】とある悪い日の話
チャラチャラと誰彼構わず声をかけ、笑顔を振りまき、よく気が回る。
そうやって今まで何人の女を手玉に取ってきたか知らないけど、私はそうはいきませんからね。
心の中で毒づきながらいつも通り仕事を進める私は、ふとパソコンの画面右下に表示されている日時に目が止まる。
8月24日(金)9:32
……あぁ、そういえばそうか。
誕生日、だ。
「…………最悪」
すっかり忘れていた。
今日は、私の記念すべき30歳の誕生日だった。
知らぬ間に私の華の20代は終わっていたという事実にがっくりと肩を落とした、が。
…仕事終わりに優希とご飯でも行こうかな。
そう考えると少し気が晴れたような気がした。