【短編】とある悪い日の話
もしかして、こういうところが可愛げないのかな。
昔から、冷たそうだとか一人でも生きていけそうだとか言われ続けてきた。
確かに一通りの家事もできるし、お給料だってそれなりにあるし、一人でいることは好きだけど。
でも、それでも。
独りは嫌いだって、優希は知ってると思ってたのに。
運ばれてきたビールをぐいっと喉の奥に流し込み、さすがに泣きそうになっていた私にさらに追い打ちをかけるように不幸は続く。
「あれ、篠田さん」
「げ」
名前を呼ばれ振り向くと、思わず嫌悪感を声に出してしまうくらいには今会いたくない相手がそこには立っていた。
「げって、酷くないですか?仮にも可愛い後輩ですよ、俺」
「可愛いなんて思ったことないわよ。ていうか、会社以外で声かけないでよね」
「まぁまぁ、そんな冷たいこと言わないでくださいよ。今日、おひとりですか?」
「…………だったらなんだって言うの」