愛しの許嫁~御曹司の花嫁になります~
 私の所属している第一秘書課は八人いる。主に、ハイクオリティなブランド衣類を扱う、いわば花形と言われる第一営業部のサポート的な役割を担っている。

 その仕事内容は、第一営業部のデスクワークサポート、役職者の業務スケジュール管理、電話応対に上司に代わってのメールチェック、出張の際の飛行機やホテルの手配など、数え切れないくらいの仕事量だ。

そんな第一秘書課は、全員女性でモデル並の体型と容姿、おまけにお家柄も学歴も完璧なお嬢様軍団だ。秘書課に希望を出していたとは言え、そんなキラキラな世界に放り込まれた私の外見は、身長も百五十八でコンプレックスは低い鼻、唯一の救いは二重瞼で大きく見える目くらいだ。そんな華々しいお姉さま方から見たら、私の容姿なんて見劣りしてしまうだろう。

「お疲れ様、鈴本さん。これから代官山で合コンに行くんだけど、一緒に行かない? ドクター合コン!」

 ルンルンで声を掛けてきたのは、私の直属で教育係の北島水菜さん。すらっとした体型で綺麗な艶のある黒髪ロング。有能で美人な三つ上の先輩秘書だ。

「え? 合コン……すみません、私、これから英会話教室に行かなきゃならないんで……」

 仕事に夢中になっていたせいか、気が付くと就業時間もとっくに過ぎた二十時を回っている。
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