愛しの許嫁~御曹司の花嫁になります~
しばらく車を走らせて、鷹野部長は私をとある企業グループが運営するラグジュアリーホテルに連れてきた。昔、私が小さい頃に一度このホテルに来たことはあるけれど、大人になってからこういった高級なものとは疎遠だったため、おどおどしてしまう。
「予約してないんだけど、今から五十階にあるすき焼きの店入れる? あ、名前は鷹野です」
鷹野部長にエスコートされ、レセプションで鷹野部長がやり取りをしている間にも、ロビー天井に飾られた煌びやかなシャンデリアに目を奪われる。
――お父さん、お母さん、すごいね! キラキラしてる! 綺麗ね。
――あはは、茜、そんなに走ると転ぶよ。
なんとなく既視感のあるロビーを見ていたら、過去の記憶が少し蘇って切なくなった。
「どうかしたか?」
「い、いいえ、素敵なところですね」
沈んだ顔をぱっと消して、私は咄嗟に笑って見せた。
鏡張りのエレベーターに乗って五十階まで来ると、すでにその店は目の前にあった。黒の蝶ネクタイがぴしっときまった店の責任者と思われる男性が、にこにこ顔で出迎えてくれて、そのまま席に通された。
「予約してないんだけど、今から五十階にあるすき焼きの店入れる? あ、名前は鷹野です」
鷹野部長にエスコートされ、レセプションで鷹野部長がやり取りをしている間にも、ロビー天井に飾られた煌びやかなシャンデリアに目を奪われる。
――お父さん、お母さん、すごいね! キラキラしてる! 綺麗ね。
――あはは、茜、そんなに走ると転ぶよ。
なんとなく既視感のあるロビーを見ていたら、過去の記憶が少し蘇って切なくなった。
「どうかしたか?」
「い、いいえ、素敵なところですね」
沈んだ顔をぱっと消して、私は咄嗟に笑って見せた。
鏡張りのエレベーターに乗って五十階まで来ると、すでにその店は目の前にあった。黒の蝶ネクタイがぴしっときまった店の責任者と思われる男性が、にこにこ顔で出迎えてくれて、そのまま席に通された。